10分間ライティング

♡ほこりさんとの共通お題企画です♡

　研究室にはもうなんの荷物も残されていなかった。少し経てば、次に使う人間が現れるのだろう。あの人は本当にいなくなってしまったのだと嫌でも感じさせられて、逃げるように部屋を出た。

　本当は、戻ってくるんじゃないかと思っていた。この目で見たのに、私はばかだ。信じられないようなことばっかりおきていたから、もしかして、なんて淡く思ってた。もうあれからずいぶんと経っているのに。

　でも、やっぱりそんな魔法みたいなことは起こらないんだ。やっぱり現実は現実でしかない。何度も何度もその苦しいまでの事実に気付かされてきた。それでも私は。視界がぼんやりとしてくる。

　じとりとした空気に染みこんでいくような蝉の鳴き声。私の嗚咽をかき消してくれればいいのに。

*
　江本教授がいいです（希望）

　こっちのお題はほこりさんからいただきましたー！のに、お粗末……